コンスピラシィX:セカンド
第1回
コンスピラシィXの市販シナリオである"The night of RAGE" をご紹介します。
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本シナリオに登場するキャラクター、シチュエーション、施設、企業、
その他は全て架空のものである。もしも現実との類似があれば、それは
何らかの巨大な陰謀に違いない。(It's all a big conspiracy anyway)
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冒頭からいきなりエンジン全開で飛ばしていますが、これがコンスピラシィXの
ゲームマスタースクリーンに付属している市販シナリオ"The night of RAGE" の前
書きです。
コンスピラシィXの基本ルールブックにはシナリオが含まれていないので、これ
が記念すべき第1シナリオということになりますね。
The night of RAGE は、ある小さな田舎町で生ずる怪異を扱ったシナリオです。
PC達は、この町で起きた殺人事件を捜査しているうちに、恐るべき超自然現象
に気づき、やがて一連の事件の背後に潜む邪悪な存在と対決することになります。
お分かりの通り、もろに「Xファイル」を意識した作りになっています。
「まずは、TVでおなじみの話をプレイして、早くルールに慣れて下さい」という
ことでしょう。
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シナリオ本文は約20ページ。プレーヤーに手渡すためのハンドアウトが6ペー
ジ。さらに、9ページに渡って、登場する主要NPCの会話集が付いています。
会話集というのは、PCが尋ねるかも知れない主な質問について、各NPCがど
のように答えるかをずらーっと並べたものです。
これはゲームマスターにとっては非常に便利な付録でして、聞き込みシーンなん
かで「えーと、このNPCはそれについて知ってたっけ?」とか悩む必要がなくな
る上に、NPCの口調も考えなくて済むというわけです。
全体的な印象としては、ゲームマスターに対して割と親切な作りになっています。
もっとも、これは私が恐ろしく不親切なシナリオ(トラベラー系)ばかり読んでい
るためにそう感じるのかも知れませんが。
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このシナリオの狙いは、とにかく「Xファイルをやってみよう」といって何も知
らないプレーヤーを集めることにあります。
ですから、宇宙人やUFOや敵組織の陰謀はほとんど登場しませんし、PC達が
陰謀を巡らせることもありません。
プレーヤ� �に「イージスは、超自然現象の脅威から人類を守るために戦っている
正義の秘密結社なんだ」と説明しても何ら問題ありません(笑)。
このシナリオをプレイしてコンスピラシィXを気に入ったプレーヤーがいれば、
「じゃ、次はUFOネタのシナリオをやろう」などと言って、第2シナリオである
"Grey Matter" をプレイするとよいでしょう。
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さて、The night of RAGE に話を戻します。
このシナリオには、付録としてPC6名と、彼らのセルが、テンプレートとして
付いてきます。この6名から好きなPCを選んでそのままプレイすることも出来る
し、手を加えてカスタマイズすることも可能です。
コンスピラシィXのキャラクターをフルスクラッチで作成するのはすごく時間が
かかるので、とにかく早く始めたいという場合に、このテンプレートは非常に重宝
します。
というわけで、各テンプレートについて紹介します。
[リーダー] 女性 出身組織:超能力研究所
彼女は早くに母親を失い、父親と2人きりで暮らしていた。彼女が6歳のとき、
父親が自殺。1人ぼっちになった彼女は、父親の遺体のそばにずっと座り続けた。
警察がやってきて、宙を見つめて両親と「会話」している彼女を保護したときに
は、父親が死んでから2日が経過していた・・・。
後にイージスの超能力研究所に研究員としてスカウトされた彼女は、そこで業績
を挙げ、やがて自分のセルを作ってフィールドワークに乗り出すことを許可された。
思慮深いセルリーダーとして活躍している彼女は、今でもときどき休暇をとって
生家を訪ね、そこで両親と「会話」するのが習慣となっている。無人の廃屋に一人
座り、宙を見つめて。
セリフ「もう一度、最初からプランを確認してみ� ��しょう。全員が自分のやるべき
ことをちゃんと理解しているか確かめておきたいの」
[戦闘員] 男性 出身組織:シークレットサービス
次期大統領候補の暗殺を企むテロリスト集団のアジトに踏み込んだシークレレッ
トサービスのメンバーは、ただ一人を除いて全滅した。重傷を負って病院に収容さ
れた唯一の生存者は、「トカゲのような宇宙人」や「彼らを指揮していた大統領」
についてうわ言を言いつづけた。
大統領の側近が駆けつけた頃には、彼は既に「死亡」しており、遺体は行方不明
となっていた。実際には、彼はイージスの手によって保護されたのである。
彼は、周囲のあらゆる人物が「奴ら」の手先で、彼を電波で攻撃していると思い
こむ癖がある。そういう場合、彼はしばしば衝動的に銃を撃ってしまう・・・。
セリフ「奴らはどこにでもいる。お前も奴らの一味かも知れない。みんな、自分で
も気づかない うちに奴らに操られているんだ・・・やはりそうかっ」
[UFOマニア] 男性 出身組織:FBI
中国で生まれ、14歳でハーバード大学に入学した天才少年。卒業後にFBIに
入り、捜査官として活躍。その驚くべき捜査能力でイージスの存在を発見した彼は、
自ら志願してイージスのメンバーとなった。
世の中に自分の知らないことがあるのが許せない彼は、宇宙人や超自然現象につ
いての全てを知ることを目指して今日も捜査を続けている。また、彼はコンピュー
タゲームに中毒しており、どんな状況にあろうと暇があれば携帯端末を開いてゲー
ムに取り組む。彼は、まだ解いてないゲームが存在することが許せないのである。
セリフ「東テキサスで起こったキャトル・ミューチレーションの話は聞きました?
ボクはこの事件について全てを調べあげるつもりなんです」
[霊能者] 男性 出身組織:超能力者
南アフリカのある部族の子供として生まれた彼は、物を手で触るだけで、その所
有者について知ることが出来るという霊感の持ち主だった。ある事件でアトラン人
に遭遇した彼は、彼を天使だと思い込み、自分は人類を霊的に導くために選ばれた
のだと信じるに至る。
イージスの秘密研究所によって保護された彼は、人類のために自分の霊能力を役
立てるべく、フィールドワークに参加するようになった。
彼は超能力の使用に伴う激しい頭痛を抑えるために鎮痛剤を常用しており、この
ために彼の意識は常に半トリップ状態にある。
セリフ「天国を見た・・・まだ人類はあそこにゆく準備が出来てないんだ・・・全
ての心が一つに溶け合ったとき、僕たちはきっと・・・」
[復讐者� � 女性 出身組織:麻薬取締局
彼女は、その美貌によってトップモデルへの階段を駆け登っていた。だが、飛行
機事故により右目を失い、顔面の半分に醜い傷を負ったとき、彼女の夢は永久に打
ち砕かれてしまった。事故が、麻薬取引に関係して人為的に起こされたということ
を知ったとき、彼女は残る人生を復讐のために費やすべく、麻薬取締局のエージェ
ントとなった。
あるとき、放棄された空軍基地の地下にある「ヘロイン密造工場」に踏み込んだ
彼女は、ヘロイン密造工場ではなくイージスの秘密基地を発見してしまった。彼女
には選択肢が2つ与えられた。消されるか、イージスのメンバーになるか、である。
セリフ「目をそらさずに私の顔を見なさい。それが、この世の見納めよ」
[パイロット] 男性 出身組織 :墜落UFO回収部隊(ムーンダスト)
空軍のトップガンだった彼は、湾岸戦争でイラク軍に撃墜され、公式には「死亡」
した。しかし、実際には彼は瀕死の重傷を負った状態で救出され、グルームレイク
極秘研究所(エリア51)に運び込まれたのである。
致命的なダメージを負っていた彼の神経系を回復させる方法は一つしかなかった。
アトラン人のナノテクノロジーである。身体に注入されたナノマシンは彼の神経シ
ステムを作り替え、彼をエースパイロットとして復活させた。
セリフ「ここまでは他のパイロットにも出来る。さあ、その先を見せてやるぜ」
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というわけです。この6名が一緒に行動すれば・・・
どんな事件も決して解決しないような気がするのは私だけでしょうか?
第2回
さあ、いよいよ"NEMESIS - The Grey Soucebook"を紹介しましょう。
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あなたは宇宙人に誘拐されたことがありますか?
・・・それは確かですか?
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「グレイソースブック」は、地球に潜入して陰謀を進めている3種類の宇宙人の
うち、最も遭遇頻度が高い「グレイ」について、それはもう徹底的に解説するソー
スブックです。
とにかく、本当に丸ごと一冊グレイ漬けの本で、ここまで書いちゃっていいのか
しら、というところまで突っ込んだ解説になっています。気合はいりまくりです。
正直言って、読む前は「どうせ、どっかのTV特番みたいに、煽るだけ煽って、
逃げるんだろう」とか思っていたのですが、これは私が甘かった。
結論から言うと、このソースブックは一歩たりとも逃げていません。
グレイという種族に関する設定を積み重ねることで、地球における彼らの奇怪な
活動についてそれなりに合理的な説明を提供しているのです。
それにしても、グレイの陰謀に「筋の通った」説明を与えるために、種族進化史
から何から設定を作ってゆくというデザイナーの姿勢には頭が下がる思いです。
RPGの背景世界設定は、こうでなければなりませんね。
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グレイソースブックは100ページ弱で、5つの章とシナリオ1本から構成され
ています。表紙は「今まさにあなたを誘拐しようとしている3人のグレイ」という
感じの絵で、ちょっと電車の中で読むのは恥ずかしいかも知れません。
第1章 未知との遭遇(Close Encounter)
第2章 進化(Evolution)
第3章 解剖(Vivesection)
第4章 グレイテック(Lenses & Psychotrons)
第5章 人類補完計画(Hybrids)
シナリオ「グレイ・マター(Grey Matter) 」
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ところで、あなたはそもそも「グレイ」についてご存じでしょうか?
・普通の人間より小柄で、皮膚は灰色。体毛は一切なく、衣服を着用しない。
・人間に比べて頭部が異様に大きい。さらにアーモンドの形をした瞳孔のない
不気味で巨大な黒い目をしている。
・着陸したUFOから数人のグループで現れて、人間を誘拐したり、頭の中に
怪しいメッセージを送り込んできたりする。
・ときどき墜落したUFOから遺体が回収され、解剖されたりするらしい。
と、ここまで書けば「ああ、あいつらか」と思い当たるでしょう。
コミック、映画、TVドラマに何度も何度も登場し、今では宇宙人の代名詞みた
いになってしまった彼らが、「グレイ」です。
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「グレイソースブック」を読めば、グレイの陰謀について全てが分かってしまい
ますから、プレーヤーはこれを決して読んではいけません。
以降の解説では、イージスに知られている範囲(ということは、どうせゲームマ
スターがプレーヤーに説明することになる情報)に絞って書いてゆきます。これよ
り先の情報は、コンスピラシィXを実際にプレイして、自分で発見しましょう。
そして、常に忘れないように。
コンスピラシィXの世界では、「真実の暴露」は、常に「より恐ろしい真実」を
隠すための隠蔽工作なのです・・・。
第1章 未知との遭遇(Close Encounter)
この章は、ごく短い導入部です。今から50万年前のファーストコンタクトから
1995年に起きた「バミューダ海底基地の反乱」に至るまでの、主な出来事を並べた
年表がついています。
第2章 進化(Evolution)
この章では、グレイの歴史が語られます。
[主な内容]
・惑星「グレイワールド」の位置
・グレイワールドにおける生物の進化史
・グレイの祖先と、知性獲得の経緯
・アトラン人とのファーストコンタクト
・グレイの種族的危機と地球の発見